悪いおばさんになろうと思う

前にも書いたけど、古い人間であった我が母に、

「男はみんな女より上」

「何かあったら全部自分が悪いと思って謝りなさい」

としつけられた私。

小学校のころ、テストの答え合わせを隣の男の子としていて、その子と回答があっていないときは、自分の回答が間違っていると思って自分にバツをつけた。

長じて、働くようになっても、どんなセクハラ上司、無能上司でも、男だから全部偉いので、セクハラ被害を受けても、ズレまくった指示を受けても、自分が悪いと思っていた。

 

喧嘩の仕方を全く知らなかったのだ。それで、余計ないさかいが避けられていたかもしれないけれど、どんな教育を受けても、親のしつけっておそろしいなあと思うばかり。わたしゃ馬鹿か。

 

反論というものがなかなかできなかった私だが、遅まきながら、腰を上げるようになった。

例えば、母の葬儀代金。

母は、父が死んだあと、3日にあげず来る営業マンに折れてしまい、父が葬儀を挙げた葬儀社と、勝手に契約を結んでしまった。

契約によると、「●●コース」を申し込んでいた。これだと、「50万円相当」のオプションが「30万円相当」でできるとかいうのがうたい文句なのであったが、いざ母が死んでみると、もともとその「50万円相当」のコース料金が、盛りすぎであった。たとえば、葬儀社の出入り口に立って車を誘導するガードさんの日当(といってもフルタイムなどではない)が「3万円」など。そして、そのコースに含まれておらず、葬儀に必要なものはすべて別料金で、思い切り取られた。つまり、「●●コース」なんてちっともお得ではなく、ただ単に、葬儀社が、次の顧客(=死者)を捕まえるための手段にすぎなかったのである。

母の葬儀を終えてから、あまりの料金体系に、がんがん怒ってみた。私に最終料金の説明をしたのは若い女性であったが、おばさん(=私)の怒りに一瞬ビビったように見えたけど、それでもプロなので、

「うちも商売でやってますんで」

と、その場は引き下がり、男性の主任クラスの人から後日電話をよこす、といったんお開きにした。

その主任クラスの人は、そういう苦情には相当慣れていた。結局、少しのディスカウントだけしか得られなかった。

葬儀社といえども、1年中葬儀が出るわけではないから、ぼり取っておかないと、経営できないのは分かるけど、怒った割にはメリットはなかった。

 

もう一つ。母の成年後見について。

私は、10年前に死んだ父が、死ぬ前、ボケまくったとき、証券会社から、

「こういうボケ客には証券会社としても対抗できない。できたら成年後見を申請して欲しい」

と率直な訴えを受け、それに従って家裁に申し立て、父の成年後見人になった。

父は株式投資をしていたのだが、ボケ始めてから、全く支離滅裂なことを言っては証券会社に迷惑をかけまくっていたのである。

 

母は、証券投資など一切しなかったけど、住居の建て替えが議論され始めていたこともあり、母にも成年後見を申請した。

しかし、これは、まったく不要であった。するんじゃなかった。

父の時とは違って、法改正がされ、弁護士や司法書士という「士業」が監督人として強制的に付されるようになったため、黙っていても、監督人報酬を取られるようになったのである。

士業を食わせる制度になった、とまでは言えないけれど、成年後見なんて、よほど兄弟姉妹が多くて親のカネを使いこまれるとか、父のようにボケた状態で契約を行ってしまう、とかいう症状がない限り、全く不要だった。

 

私は、司法書士から最後の報酬請求書が来た時、わざと無視してしばらく海外に出た。

1か月ほどしたら、メールも来たし、携帯に電話もかかってきた。これまで2年間、無条件で年間19万円もはらってきた私が、おかしいな?と思ったのであろう。

必要書類は全部私が書いて出しているし、この司法書士、ただ私の書類を見て、家裁に回しているだけ。とてもじゃないけど、こんな仕事量で19万円も払えない!

海外から、値引きの願いを切々と書き、メールした。

最後は、1か月1万円が最低報酬だから、というので、12万円に下げてくれた。

それでもまだ多すぎると思っている。

士業を使う、というのは、そんなものだとしても、食えない士業の経営の足しにされているみたいな感じ。

ゆめゆめ、よほどの必要がない限り、成年後見なんて申請する必要なんかない。どうぞご承知おきを。

 

不動産登記の書き換えも、父から母に名義変更したときには、近所の司法書士を使ったが、今回は自分で行うことにした。

ネットで調べ、法務局に行けば教えてくれる。

しかも、前回、司法書士が登記漏れをしたミスまで見つかった。

 

弁護士ならわかるけど、司法書士なんて、そんな必要な資格だろうか?

 

とにかく、今後二度と世話にならない相手に理不尽さを感じたらら、一応喧嘩をしてみることにした。