安楽死

今朝のニュースで、ASLという難病に冒されていた京都の女性を安楽死させたとして、医師2名が逮捕された、とあった。

驚くことに、この女性と医師らは面識がなく、ネット上だけで意思疎通し、手数料を振り込まれたので手を下したらしい。

そういう医師らがいることにも驚くほかないが、ただ、治療法もない難病で苦しむだけの毎日で、死なせて欲しいと心底願っている人らをどう救済するか、については、医師、法律家、政治家などの専門家らは、どうしても目をそらさざるを得ない。しかし、今回の医師らは、違法であることを知りながら、あえて一石を投じるため、汚れ役を買ったのかもしれない。

朝から晩まで難病に苦しむだけの人生で、自殺も出来ないとしたら、それのどこが幸せか。私は、自分が、難病や認知症になったら、安楽死させてほしい。

 

ところで、こんな本を読んだ。

 

 

買ったのではなくて、図書館の「ご自由にお持ちくださいコーナー」にあったものだ。

かつて大ベストセラーになったので、覚えている人も多いだろう。見たら、出版が1998年10月で、これは、3ヶ月後の17刷の一部である。

都立の名門戸山高校から1浪して早稲田に入るくらい、生来頭脳明晰な人物であることはわかる。何より、驚いたのが、生まれてすぐ、母親をショックから守るため、生まれた彼を「黄疸が酷い」というウソで1ヶ月も会わせずにいたのだが、いざ会わせてみたら、その母親は、彼を見て「かわいい」と反応した、というくだりだ(本当かどうかわからないけど)。

間引かれなかっただけでも奇跡、と言ったら言い過ぎだろうけど。

 

私は下世話なたちなので、一番知りたいことの一つである「このヒトは、1日に何度もある用をどう済ませているのか」については、全く書かれていなかった。ただ一カ所、

「ボクは一人で用を足すことができない」

と書かれていただけであった。

この本の中で一番ぶったまげたのは、予備校に入ろうとして、どこからも断られるまで、

「すべてに恵まれて育ってきたボクには、自分が『障害者』だという意識する機会がなかった」

と書いていたことだった。ひえ~~っ!

彼には、先生やクラスの仲間が、彼ひとりのためにどれほど心を砕いてきてくれたかに対する感謝というものが、あったのだろうか。障害者だと意識したことがない、って?手足もなく、電動車椅子で、トイレも一人でできず、同級生たちのおかげで遠足の登山までさせてもらい、遊びについても、特別に「乙武ルール」を作ってもらっていた、というのに、なんというすごい神経だろう。

 

不治の病の件と、先天性障害を、強引に併記してしまった。

でもこのヒト、選挙前に不倫が発覚しなかったら、いまごろどこかの議員さんだった可能性が非常に高い。おお、こわ。今はどうしているのかしら。「障害は不便だが、不幸ではない」そうだけど。