「日本語の語彙」と「ほぼカニ」

TVに出ている若い芸能人たちが日本の若者の平均的レベルを表していると思ってはいけないんだけど、このごろ悲しいのは、

「美味しいこと、可愛いらしいこと、すばらしいこと、素敵なこと、すごいこと、優れていること、逆に、まずいこと、よろしくないこと、困ってしまうこと、悪いこと」

を、みんな

「やばい」

でしか表現できない言葉の貧困さだ。

私くらいの年代だと「やばい」は、砕けた、品の悪い(=女性は使わない方が良い)形容詞で、極めてnegativeな状況を表すのだが、いつごろからか、「美味しい」等、positiveな意味でもバンバン使われるようになってきた。

いつだったか、「志村どうぶつ園」をちょっと見ていた。柴犬の赤ちゃんが沢山出てくる予定だったからである。私は「あ~~可愛い、愛らしい、食べちゃいたい、悶絶する~」と思いながら見始めていたのだが、出演していた10代の山之内すずとかいうタレントが、仔犬たちの、どういうシーンを見ても、「やばい、やばい」しか言わなかった。

「お前の日本語では形容詞は『やばい』しかないのか? 馬鹿め。頭がやばいぞ」

と、消してしまった。

 

大人気だった「半沢直樹」で、柄本明演ずる幹事長が、半沢のことを、

「あ~~、あの~~、石部金吉くん、誰だったかねえ」

と、さげすみながら、傍らにいた大和田に尋ねていたのだが(名前は知っていたが、わざと尋ねていたのかも)、その後ネット上のコメント欄に、

「石部金吉って誰のこと?」

という書き込みが多数あったのにはがくっとした。ちょっとでも国語辞典を引こう、もとい、ネットで検索して意味を調べようとは思わなかったのだろうか。

 

 

 

過日、「うな次郎」といううなぎもどき製品を食べたら、立腹するほどまずかったことがあったけど、格付け番組で、これを本物のカニと間違える人が続々といて、へえ、と思った。なので、試しに買ってみた。

よく出来ているけど、本物のカニとはどう頑張っても思えないよ。

本物のズワイガニと冷凍カニの区別を付けられる自信はないのだけど。

ではあっても、よく出来ている。日本人、すごいぞ。次は「ほぼホタテ」を食べてみようかな。