困った客、いやな客

先日、銀行に通帳記帳に行ったら、ATMの一つに、長い時間とどまっている婦人がいた。大体75歳くらいだったろうか。

その人は、ATMが使えないのである。しまいには、立っていた案内係の人に、

「家賃振り込むんですけど、どうしたらいいんですか」

と聞いていたので、ぶったまげた。家賃だったら、毎月のことだ。それをこの老婦人は、毎月毎月、ATMで固まり、毎月毎月案内係の人に尋ねているのだろうか。

銀行も、いまや、店舗どころか、ATMを設置しておくことすらひどい負担になってきている。時々、綜合警備とか日通なんかのワゴン車が、大量の札束を置きに巡ってくるのを目にするが、ああいうのもコストになって仕方が無いはずだ。店舗に来て欲しいのは富裕層の客だけで、儲からない一般庶民の客には、できるだけネットを使って欲しがっており、通帳ですら有料化へと突き進んでいる。

そうなったら、情弱とか、機械の操作がからっきしの人たちは、世の中からあぶれてしまうかな。私も、万が一自分が専業主婦だったら、世の中で出来ないことがもっともっとあったに違いない。

 

さて、これは全然別の話だけど、先日、ニトリに買い物に行ったら、これまたジジイの客が、カウンターの女性相手に、いろんな不満がたまっていたのか、どなりまくっていた。しまいにゃ、

「あんたじゃ無理だ。誰かほかの人に代われ」

とまくし立てている。私はこういう客って大嫌いなので、遠ざかったが、声がデカイので聞こえてしまう。

カウンターの女性は中年で、そのジジイ客が、スマホにインストールしたニトリのアプリに、ポイントが付いていないとかそんなことを騒いで、その女性にスマホを操作させていたのだ。

「あんたじゃ無理だ」

というセリフて、ふっと思い出した。

私がまだ20代のOLだったころ。電話を取ると、高齢男性客からよく、

「誰か男の人に代わりなさい!」

と言われることがあった。こういうとき、どうしたら、と思い、私より年長の女性社員に相談すると、

「ああ、私はそういう客、男に振るわよ。だって、化石と争ってもしょうが無いから」

と言われ、私もそういうジジイ客は、無理せず男性上司に振った。

女が電話に出るだけで、「男に代われ」と言われていた時代が少し前まであった。いまでも無くなってはいないかな。

あのニトリのジジイ客もきっとそういうタイプに違いない。私は、その、カウンターの女性社員に、

「無理しないで、誰かに代わりなさいよ」

と、心の中で叫んでいた。