ファミマ「お母さん食堂」

香取慎吾が割烹着のお母さんの格好をしてCMに出ているけど、かつてファミマでこれを見た瞬間、

「あ、これは絶対男女差別って攻撃されるなあ」

と思った。果たして、そうなった。とりわけ女子高校生らから批判が上がっているらしい。

 

「お母さん食堂」。かなりの製品が出ているようだ。

 

 

働く主婦が、献立に何か一品足りないとき、追加するにはいいんじゃないかな。

実は私、この名称にはそんな反対ではない。

だって「お父さん食堂」って聞いたって美味しそうじゃないもん。

「それこそ、料理は女の仕事、とすり込まれている証拠」と批判を受けたら全く反論できないけれど、私は個人的に、料理の下手っぴな女性は尊敬しないからだ(だからといって、共働きでも全然家事をしない夫族は許しがたいけど)。

何も、ゴージャスなメニューでなくて良い。ごく普通のメニュー、もとい、献立を、きちんと作り、一家で「美味しいね~」と言って食べるようなら十分。特に、息子が大人になったあと、「おふくろのあれが食いたいなあ」と思い出せるものが2~3品あれば良い、と思う。

 

うちのアメリカ旦那の母親は、5人姉妹の5女で、早世した両親に代わり、姉たちに育てられたのだが、料理はからきし下手だったという。伝聞形なのは、この母親も早世し、私は会ったことがないからだが、とにかく、家では、缶詰が主な食い物だったようだし、たまに肉を焼いても、炭のようになるまで焼き、それにケチャップを付けて食べるのがせいぜいだったという。

旦那のお父さんのお母さんは、料理上手だった。そんなわけで、お父さんはしばしば実家でお袋の味を食べたいのに、それを良く思わぬお母さんと夫婦げんかになり、嫁姑の間も険悪になる、という図式は、洋の東西を一切問わない話なのであった。

 

だから、お袋の味ってものはあった方がいいと思う。それがたまには「オヤジのチャーハン」とか、お父さんが腕を振るったものであっても全く構わないけど、お袋の味というものを知らずに育ったうちの旦那を見ていると、人格の上で、大きな欠損を感じるのだ。

 

しかししかし、ファミマのそれは「袋の味」だね。「お袋」じゃない。でも、お母さんの暖かいイメージを助長している、とも言えないだろうか。まあ、時々、ないし、補助的に使おう。

 

俳句を見ると、母を恋う句、死んだ母(妣、と書く)を恋う句はいくらでもあるのに、父親を慕う句なんて見たことない。

男性陣から文句が出そうだけど、自らの手で必死に授乳、料理、育児をする母親らと違い、哺乳類のオスなんてそんなものかも、と言っておく(悲しいけど)。