冗談を解さないヒト

私は、海外留学の経験はなく、NHKのラジオ番組を毎日丸暗記しただけで英語をマスターした。

なので、NHKには、受信料とか偏向問題などの疑義、苦情を多々抱えているけど、基本的に、恩義を感じているため、偉そうなことが言えない(←言っているじゃん)。ただし、私が世話になったのはラジオであって、TVぢゃない。やっぱTVはひどい。

 

さて、そのラジオで、現在、「実践ビジネス英語」のテキストだけは毎月買っている。他の英会話諸番組は、テキストなしで、聞き流している。

その「実践」の1月号テキストの34ページ目に、講師の先生によるちょっと皮肉っぽいコラムが書かれていた。

1996年8月号のテキストで紹介した話のことだ。

アメリカのとある高校の同窓会に、ヘリコプターに乗って現れた男がいた、彼は、高校時代、成績がいつもビリで、数学も全然できなかったのに、なんと、巨大スーパーマーケットのCEOにまでなって大活躍していたという。

周りが、彼に成功の秘訣を尋ねると、

 

「秘訣なんかないさ。ただ品物を1ドルで仕入れ、それをお客様に1ドル50セントで売るだけだ。そうやって5%のマージンを稼ぐのさ」

 

一瞬「ん?」と考え込み、そのあと、彼がいかに数学が苦手だったかを思い出して、ようやく笑えるジョークだろう。

CEOになった今でも計算はダメなんだよ、というふりをした自虐ネタで、今日の彼にそんなことはないのは、誰だってちょっと考えればわかる。

彼の過去を知らないと、理解できないネタではあるが。

 

ところが、この放送後、リスナーから手紙が来て、こう書かれていたという。

 

「1ドルのものを1ドル50セントで売ると、マージンは5%ではなく、50%です。訂正された方がいいでしょう」

 

よっぽど、くそマジメなリスナーなんだろうなあ。

 

そして、その後、講師の先生がそれにどう対応されたのかまでは書かれていなかったが、リスナーからの手紙にいちいち返事なんて書かないだあろうから、この投稿者はきっと、生きていれば、いまでも、

NHKが間違っていて、私が訂正を指摘してやった」

と信じ込んでいるかも知れない。

 

ジョークは、むずかしいものが多いけどね。でも、さあ。

ヒトを笑わせるって大変なことだよ。