問題を起こした男の言い訳として、しばしば出るのは、
「酔っていて覚えていない」
である。人間として、社会人として、最低のクズの言い分だ。
しかし、なぜか日本では諸先進国に比べ、外でベロベロになるまで酔っ払うことに、寛大ではないだろうか。
最近の例1.日立製作所 企画本部長 矢加部太郎(52)を、公然わいせつの疑いで逮捕。女子高生に、下半身を露出し、「10点満点で何点?」と尋ねた。本人は「酔っていて覚えていない」
最近の例2.路上でタクシー運転手(67)に消火器を投げつけるなどとして、傷害容疑でNHK報道局映像センター 鞘本諒介(32)を逮捕。本人は「酔っていてよく覚えていない」
日立製作所とかNHKのような大企業だから、勤務先と実名入りで報道されてしまうが、無名の会社に勤める無名社員が酒の上で起こす事件は、枚挙にいとまが無いだろう。
こういう本人らは、「酒癖が悪い」「飲み出すと人格が変わる」など、従前から問題を指摘されていることが多いのではないか。なのに、それでも外で飲み続ける。おそろしい話である。
判断力や記憶がなくなるまで飲んだらいけないんだよ~! そのくらい、わからないの?
これは、以前乗っていたタクシーで、運転手さんから聞いた話だ。運転手さんは、車内のラジオで聞いたそう。
酔っ払って歩いていた男が、誰かにぶつかったか注意を受けたか、で、激怒し、その相手の男性をぼこぼこに殴り倒し、結果、その男性は意識不明の重体になってしまった、という。
その男も、警察の取り調べに対し、「酔っていて覚えていない」と答えたという。
日本の刑法では、故意(殺意)が認定されないと、殺人罪にはならない。だから、クズみたいな刑事被告人が、誰がどう見たって殺人なのに、裁判の口頭弁論で「殺意はなかった」と否定するのはこのためである。
しかし、そんなにも酔っていながら、他人をほぼ殺すまで、ボコボコにできるのものなのだろうか。
だとしたら、「酒の上」は、未必の故意に準じるくらいの刑罰を新設するべきだ。
そのくらいしないと、「酔っていて覚えていない」という言い訳は、永久に減らない。
ラクシーの運転手さんも、「ひどい話ですよねえ」とつぶやいていた。