いくつになっても、卵焼きが得意にならない。
プロの料理人でも、「オムレツが一番難しい」とか、「卵を料理させたらその日の気分がわかる」とか言われているくらい微妙な食材である。
が、私なんてシロートの主婦だからそんな高尚なハナシではないのだが。
子供のころに食べた母の卵焼きは、なぜあんなに美味しかったのだろう。
私の子供時代にはまだテフロン加工の鍋なんかなかった。卵焼きでもなんでも、鉄のフライパンで焼いていた。
ちゃっちゃっちゃ、と、母はすべて目分量で焼いていたのに、毎回美味しく、完璧なできばえだった。
私はというと、テフロン加工の卵焼き鍋を使えるのに、それでもどうしても苦手意識が拭えない。
これまでずーっと、深さ3cmの卵焼き鍋(もちろんテフロン)を使っていたのだが、卵はいつも3個使うのだけど、3個だと、この深さではあふれるかあふれないかギリギリなのであった。
それで、思い切って、もっと深い卵焼き鍋を探したら、ヨドバシカメラのキッチン用品コーナーに、THERMOSというメーカーの、深さ5cmのものを見つけ、飛びついて購入した。
これなら卵液があふれないのだけど、
やっぱ、なんかうまく焼けないんだ。巻き方がヘタなんだろう。
味にムラがあるといけないので、調味料は毎回計量している。
私は関東人なので、ただの卵液のときは甘くし、ネギやニラ、じゃこなど、具材を入れるときは塩味だ。
関西人は絶対しないけど、私は焦げ目を付ける。その方が美味しそう。
それでも、毎回、毎回、母のそれにはほど遠いので、落ち込んでいる。