高齢者に「やらない言い訳」をさせない方がいい

この前、iPadで、デジタル新聞の投書欄を見たら、まだ50歳をちょっと過ぎたばかりの女性の投書があって、

「私はパソコンもスマホもやらない。苦手なのだ」

なんてあったので、ありゃ~~っ、と、呆れてしまった。

何かをしたくない、苦手だ、ということは誰にでもあるから仕方ないけど、そういうことって基本、大声で言うべきではない。わざわざ全国紙に言い訳タラタラの投書をして、何を得ようとしているんだろう。こういうことは、投書するくらいなら黙っていた方がいい。

しかし、政治家にもITオンチな人が多いせいか、日本のデジタル化は世界水準で見てもかなり遅れているらしい。

このまま行ったら日本は先進国でなく、4流5流国家になってしまうのではないか。

 

私が非常に興味を持っている人に、若宮正子さんという方がいる。

若宮さんは、昭和10年生まれ。東京教育大付属高校(当時)を卒業したというから、いわゆる「地頭」の良い女性らしい。卒業後、三菱銀行(当時)に入社したが、恐るべきことに、この年代としては希有も希有で、独身のまま定年まで勤め上げたのだ。よく25歳くらいでたたき出されなかったものだと思う。三菱銀行、偉いぞ。

この方の著書「独学のすすめ」も買ったが、驚異的な行動力の持ち主でもあることがすぐわかる内容だった。

その若宮さんは、世界最高齢プログラマーとして知られているが、パソコンに触り始めたのは、なんと銀行の定年退職後だという。特別に地頭が良い人ではあるにしても、まだ50歳過ぎたばかりで「PCもスマホも苦手」なんて言い訳の投書をしている人に比べたら、天と地の差だ。何より、定年まで銀行で仕事を続けたということが大きいだろう.私だって、ただの専業主婦だったら、PCもスマホもやる前から「苦手だから駄目」と逃げまくっていただろう。

その、若宮さんについて、最近ネット上で記事を見つけた。嬉しく読んだ。

 

 

 

86歳の今日も、あちこち引っ張りだこの多忙な生活を送っておられるという。この調子なら、ボケも病気も寄せ付けず、100歳くらいまでピンシャンしているのではないか。人間、仕事をすることが何よりの健康の秘訣だ。

この中で、若宮さんも、日本のデジタル化の遅れを嘆いておられる。

エストニアのような小国だから可能なことかも知れないが、国民の15歳以上はすべてIDカードを持っている。このカードはあらゆるデータにリンクしている。日本でそんなことやろうものなら、野党とか朝日新聞が「国による情報統制」「軍靴の音が聞こえる」と、どれほど反対の声が上がるか。そのせいで、「マイナンバーカード」なんてものもまだ無用の長物に毛が生えた程度のしろものにしかすぎない。健康保険証として使えるようにした、と言っても、肝心の医療機関で導入が進んでいないのだから、何をか況んやである。

「やりたくない、やらない、嫌い、いやだ、面倒くさい」

という人たちの声がこれほどまでに尊重され、通る国って、恥ずかしいことじゃないのか。

お隣のK国ですら、どこの医療機関に行っても、健康保険証にその人の過去の病歴が一覧になって出てくるようになっているというのに。

支那だったら「それなら医師免許を取り上げる」と恫喝するだろう。メシが食えなくなるのなら、誰だって真剣に取り組まざるを得ない。しかし、ふたを開けたら案外「案ずるより産むが易し」で、思ったよりずっと簡単に導入できたりするというのに。

儲けが懸かっていないから「やりたくない、やらない、嫌い、いやだ」「いまさらPCなんて」とゴネる自由を謳歌している人らには、徳島県の田舎でつまもののビジネスをしている「いろどり」という会社のばあちゃんたちの爪の垢でも煎じて飲ませたい。

 

 

これらばあちゃんたちが簡単にPC、タブレットを使いこなすのも、すべては「自分の儲け懸かっている」からである。

こうしてみると、動機があれば、デジタル化、IT化に年齢の境目はない。

要はどれだけ尻に火が付くか、だ。

そして彼女らは老いても健康で、医者にかかっている人が驚くほど少ないという。

高齢者や、「やらない」人らを甘やかしてはいけない、と思う。