数年前のこと。
長年、治し、治して、なんとか維持していた大臼歯の1本が、ある朝、激痛を生じ、物を噛むどころではなくなった。早速歯医者に駆け込むと、膿を出すオペをしてくれ、それから、歯医者さんが私の腕の血管に点滴で抗生物質を注射してくれた。
なので、歯医者さんは、歯茎だけでなく、腕に注射をすることも普通の業務だと思っていた。
このたびのコロナワクチン接種のマンパワー不足の解消のため、政府が日本歯科医師会に、歯科医師によるワクチン接種の協力依頼があったことに、歯科医師会側から、
「一定条件が整えば全面的に協力する」
という回答が出されたようだ。
よくよく読んでみると、筋肉注射を反復継続することは、「歯科治療行為」ではなく「医業」だから、歯科医師とは厳密にテリトリーを分けている医師会側からすると、歯科医師が行ってはならないことになるそうだ。根拠となるのは医師法の第17条で、
「医師でなければ、医業をなしてはならない」
という、きわめて短い条文だとか。へえ。
しっかし、日本って国は、緊急事態が起こっても、法律の規定が完備されていないと、カタツムリほどにも前に進もうとしない国だね。
イギリスなんて超法規的に、英語もろくに話せないような移民にまで、注射のトレーニングを受けさせ、それでバンバン接種を行った、結果、イギリスの患者数、死亡者数は激減した。
もちろん、ロックダウンなどの措置も功を奏したと思うが、ジョンソン首相の英断即断も大きい。ちなみに、予防接種に猛烈に反発する人たちがいるのも承知している。そういう人たちは接種を受けなければいいのだし、イギリスを見ても、接種は効果があるのは歴然としている。
日本でもし、医師や看護師の免許どころか一般人にまで注射を打たせようなどと言い出す者がいたら、さぞキチガイ扱いされ、
「何か起こったら誰が責任を取るんだ」
と、炎上するに違いない。同じ先進国でありながら、イギリスのこのフットワークの軽さは何なんだろう?
厚生労働省も、アクションがきわめて鈍いそうだ。
そりゃ~~、そうでしょう。誰だって、今後の天下りに差し障るような事態は起こしたくないものね。ここでも天下り制度が癌。
支那なんて、世界でどう条約が定められていようと、国際ルールとか法律なんて完全無視だ。自国が法律、とばかりやりたい放題やって、何を言われようと蛙の面にション、である。
何かの行為には法律の根拠を確実に、という日本人の真面目さは悪くはないが、あまりに「完璧主義」「ことなかれ主義」でフットワークが重すぎる。