やはりまだ「夫婦別姓」には遠い日本

最高裁判所は、我が国保守最後のとりでだと思っているし、そうあって欲しい存在だけど、今回もまた「ああ、ダメだったか」と思った。

夫婦同姓は合憲、という判決が、2015年につづいて、再び下された。

大法廷なので、裁判官は15名。うち、「合憲」が11名に対し、「違憲」と判示した裁判官は4名。

また、15名のうち女性裁判官はたったの2名しかいない。

もし女性判事が半分くらいいたら、形成は変わっていたかも知れない。

2名のうち、弁護士出身の宮崎裕子さんは、旧姓を使用しており、今回は「違憲」としている。もうお一方の女性判事、岡村和美さんは、既婚だとしたら、結婚姓を使用しているのかな。彼女は「合憲」としている。

 

 

 

あとは、世論に答える形で、立法の判断に委ねられているのかもしれないが、私は、私自身が「合法的に」夫婦別姓なので、なんでこれが、しかも「選択制夫婦別姓」ですら、法的に認められようとしないのか、全く理解できない。「選択制」なのだから、同姓にしたい夫婦はすればいいし、したくない夫婦はしなければ良いだけの話である。子供の姓をどうするかだけ決めておけばいい。日本は、夫婦別姓を認めない点では、世界でもほとんど希有な国である。

 

女が男の家に入るというのが結婚の目的だった時代はとうに去ったのに、いまだ、ほぼ女の側ばかりが改姓をしいられている。男の側は、よほどでない限り絶対に進んで妻の姓を名乗らないから。

NHKの女性アナを見てもわかるとおり、宮崎緑さん以降は、結婚しても旧姓のまま仕事を続けている。

このため、宮崎さんをはじめ、桑子さんとか膳場さんなんかも、結婚離婚したって画面上姓は変わらない。同じ人なんだから、結婚離婚の有無で姓を変えなければならないのは、手間だし、プライバシーを丸出しにさせるようで、誰にとってもメリットはない。

 

「夫婦同姓は家族としての統一感を示す」というのが趣旨の一つだが、私を含めて国際結婚で合法的に日本で別姓にしている者ら、また、近隣では、韓国台湾朝鮮半島のみなさまは、別姓なので、家族が統一されていない、とでも言いたいのか。

 

最近は、民間企業でも旧姓の継続使用を認めるところがぐっと増えている。しかし、そういう彼女らにも、企業年金組合、健康保険組合等、公的機関から書類などが来ると、日頃「井上洋子さん」と思っている人あてに、あらら、「橋本洋子さん」と来るもんだから、一瞬「誰?」と思ってしまう。特に、日本は、ビジネスの場で下の名前をほとんど出さない国なので、姓が同じでないと、本人かどうか、夫の姓を知らなければ確認が取れない事態も生じうる。

 

それから、学校時代の同級生で、大きな賞をもらって表彰されている人、逆に、事件や大災害に巻き込まれて名前が報道された人に対して、

「年齢と下の名前は同じなんだけど、これってひょっとして、○○さんのこと?」

と、完全な確認が取れず、連絡を取ったり、重要な手がかりを出しそびれる場合もある。

 

また、年金記録は、昔、マイクロフィルムで保管されていたけれど、結婚離婚を繰り返している女性の場合、データが照合できない年金も未だにあるという。

 

いまどきの旦那さんでも、妻が自分と同じ姓にしてくれると素直に嬉しいと思うのだろうか。

携帯のある今は、夫婦のいずれかが相手の会社に電話を入れることも稀になったけど、仮にそうする場合は、

「私は井上洋子の夫の橋本ですけど、井上いますか?」

と聞いてくるのがごく当たり前になっている。妻といえども独立した人格者で労働者だから。

日頃滅多に使わない戸籍名が、夫婦、家族統一の主要因になっているだろうか?

選択制夫婦別姓すら認めないこの国って、なんだろう?