図書館に、要らない本を持ってきて置いておくコーナーがある。「ご自由にお持ちください」のコーナーだ。
たまたま、五木寛之氏の「選ぶ力」という本を見て、持ち帰った。
初版は2012年11月。9年前だ。
その中で、こんな一節を見た。
「先日、東大地震研究所の平田直教授の発表したデータが大きな反響を呼びました」
で、その発表というのが、
「今後4年以内に、70%の確率で、マグニチュード7クラスの首都直下型地震が起こる可能性がある」
ものであった。
元ネタを捜したら、2012年1月の発表だった。
それから4年どころか、9年経った。昔の本を読むと、こういう発掘がおもしろい。
「東大の教授」という肩書きだけで、日本でのインパクトは最大級である。丁度、前年の2011年3月11日に、東北に巨大地震が発生したこともあり、こういった「予言」は人々の間に一層の信憑性と恐怖を持って迎えられたはず、だった。
地震学者があれこれ発表すると、大きなところでは、インフラ整備等に莫大な税金が拠出されるし、身近なところでは、保険会社の地震保険料率が上がる。
この人単独の研究結果ではないだろうけど、名前を出して発表した責任は何かしら取らないのだろうか。
それとも、
「私は、起こらない確率は30%と予測した。それが当たった」
とでも抗弁するのだろうか?
架空の情報で振り回される身にもなってくれないだろうか。
ロバート・ゲラー教授は「人類に地震予知は無理」と断言している。
こういった無意味な「%」の発表、ほんとうにやめて欲しい。
平田教授は、まだ辞めてはおられないようだ。