無駄な我慢は全然美徳じゃない

日本人は、とかく、何かあっても「我慢する」「辛抱する」のが美徳って思う傾向があるように思う。異論を唱えると、とりわけ、女性だと「生意気」「女(嫁)のくせに」などとののしられたりする。

 

理不尽な我慢は、するものじゃないし、しても意味がない。なかなかそうは訴えられない場面もあろうけれど、もう21世紀なのだから、勇気を持って主張すべきことは主張しよう。しかし、私も長年社会人をやっていて、「正しい反論、もっといえば喧嘩の仕方」を全然教わったことがない。言い合ったり、争ったりすることは絶対避けるべきことと育てられてきたし。だから正直私も自信がない。

 

私自身は嫁姑問題で苦労したことはないのに、Yahooの嫁姑漫画(特に「ママスタ」)は、食い入るように読んでしまう。

いま、次が待ち遠しいのはこれ。

 

 

弟っていうのはとかく姉ちゃんに弱いもの、という悪条件も重なっているけれど、このお嫁さんは、義理の姉が子供が病気になるたび実家に丸投げしにきて、義両親も足が痛い腰が痛い、で、結局このお嫁さんが全部面倒を見させられてしまい、いい加減我慢ができなくなり実家に帰り、離婚も考えていると訴えるところまで話が進んでいる。

実家であっても、兄弟が継いでいてお嫁さんが来たなら、もう実家であって実家でないようなものになる、と、別のサイトで教わった。そうだよね。そうでないと、世話をさせられる同居のお嫁さんが気の毒である。

 

私の場合、亡母のあまりのお人好しにも原因があったのだが、以前、実家の上の階に、ブチ切れたことがある。

私の実家は安普請の公団住宅の3階にあった。上に、音大に通っていた娘を持つ一家が住んでいた。

音大なので、もう、四六時中ピアノが聞こえてくる。たまりかねて母が苦情を言いに行ったら、その家の主婦は、

「そんなの、山●が悪い!!」

とブチ切れた。山●、というのは、リフォーム業者の名前で、防音装置を設置したという話だったが、そんな安普請の公団に防音装置なんて屁の役にも立つものではなかった。従って、我が家は、その娘が音大を卒業するまで、ピアノの音に苦しめられていた。

音大を卒業した娘は、学校の音楽の先生になった。

そして、結婚。びっくりしたことに、先生をしながら、4人も子供を産んだのである。

そうして、毎週土曜日になると、旦那と一緒にガキ4匹を車に乗せ、実家に落として行った。

安普請の団地だから、上の階で豚児が4匹、毎週ドタドタ激しく走り回られては、天井が抜けそうであった。

我が家は、毎週、毎週我慢していた。

アメリカだったら、訴えられているか、射殺されてもおかしくなかったろう。

でも、母は、

「我慢していなさい。そのうち大きくなったらなくなるから。それに、あそこの奥さんがああいうきつい人だから」

とひたすら耐えていたのだが、私は怒り心頭だった。私が親から離れても、ずーっとそうだったに違いない。

 

あるとき、割と遅い時間に実家に寄ったら、偶然だが、その夫婦が車にガキ4匹を乗せているところに出くわした。

私はこのチャンスに、その旦那さんに向かって思い切りブチ切れ、これまでガキ4匹の走り回る音がどんなに迷惑だったかぶちまけ、

「しつけもできない子供らなんか、もう連れてこないでくださいっ!!」

と叫んだ。その旦那さんは、事情を全く知らなかったらしく、萎縮していた。そうしたら、翌週から、ぱったりと来なくなった。

 

孫を実家に連れてくるな、と言う注文は、まあ、非情かとは思う。

しかし、20年くらい我慢していたので、マグマはたまっていた。

苦情は、言わないと、わからないのである。それが根本だ。特に親やババアは、子供らを走り回らせてニコニコしていたりする。

 

子供を預けに来るのは、預けやすさから、妻が自分の実家に、というパターンが圧倒的に多いのではないか。

ポン、っと置きっぱなしにして、そのあとは知らぬ、は困るよ。

私の母は、上の階の奥さんの性格のきつさに恐れをなしていたが、あとできっとあの奥さんは、

「あの鬼娘が! なんてきついことを言うんだ!」

とでも私を罵っただろうなあ。へっ、そんなの構わんよ。

もうあのぼろ団地も売ってしまった。