年賀状など書かなくなって久しい。
周囲には「私は書かないから」と伝えてあるので、LINEで済ませられる。しかし、世の中にはどうしても賀状を送ってくる人が結構いる。
遠方に住んでいてそれほど親しくない人、高齢の親族、それから、子供のアップ写真で我が子自慢をしたくてしかたない人など。
そんなわけで、渋々、コンビニに印刷済みの年賀状を買いに行き、もらった分だけ返事を書く。
かなりの枚数を出す人だったら、宛先は今どき自分で印刷するのだろうが、そこまで枚数がない私は100%手書きだ。
困ったもんだ。
今どき手書きの手紙や葉書なんて、滅多に出さない。しかも、恐怖の「縦書き」だ(横書きでもいいっちゃいいんだけど)。
まずは、左側の自分の住所氏名から書き、次いで相手の〒番号を書く。次に、宛名氏名を少し大きめに、特に最後の「様」をちょっと大きめに書く。最後に相手の住所を書く。相手住所と氏名は、縦書きだとどっちかに倒れてしまうので、あらかじめ鉛筆で薄く縦線を引いておく。
こうすると、ちょっとはマシに書けるし、手が汚れない(by 右利き)。
だが、いざ投函しようと、薄い鉛筆の線を消すと、せっかく書いた住所氏名が消しゴムでにじんでしまって「あちゃ~」となることがある。バカね。
いくつになっても、書くのが苦手な漢字がある。
自分の氏名に使われている漢字にも苦手なものがある始末だ。
それから、住所にもある。
「横浜市神奈川区」なんて書くと、「横」も「浜」も「市」も「川」も「区」も、み~~んな苦手な字。バランスが取れない。
何百万回と書いても、住所を書くのが苦手なこの苦痛。
「夫」とか「央」とか「英」なんて、左右に払う文字もひどく苦手だ。
有隣堂に行って、美文字の本を買ってしまった。
並んでいる本を全部めくって、これいい、と思った1冊を選んだ。
選んだ条件の第一は、自分の好みの文字であること。
著者の青山先生というかたは、男性なのに、この本を見ると、女文字のような印象を受ける。
そしてなにより、パラパラっとめくっていったら、この本には、私が大嫌いな「区」の書き方が大きく載っているではないか! やった!
その他、苦手な文字の出ているページには、付箋を付けた。本は付箋だらけになった。
余談だが、私は「区」の字の書き順を長年間違えていたようだ。
「夫」などの左右に払う文字も、なんとか練習しよう。うちが「中央区天央町」なんかでなくて良かった。
いくら文字は「書く」から「打つ」時代になっても、美文字が書ける人は尊敬される。
たった26個しか文字を持たない諸外国の民には、この気持ちなぞわかるまい。