口紅とパンスト

コロナになり、外出時にマスクをする生活に入ってから、ほとんど口紅を消費しなくなった。

以前は、人とランチをすることも想定し、それなりに塗っていたのだけど、マスクの内側に口紅が付くのもイヤだし、そのうち人と食事をしても口紅を塗っていない口を見られたって平気になってきたので(相手も塗っていなかったりする)、塗らなくなった。

ファンデーションだって、顔のほとんどがマスクで隠れるのに塗ったってしょーがないなあ~~っと思ってはいるけど、さすがにそこまで塗るのを省けない。これもマスクの内側の多少付くのだけど。

ともあれ、どの化粧品メーカーも、口紅の売上げが激減し、大変だろう。私はデパートの1階で店員さんと密着してまで化粧品を買った経験が一度もないのだが、あの各コーナーもどうしているのだろう。

 

ところで、パンティーストッキング(注:コレ和製英語です。正しくはpantyhoseないしpantihose)のメーカーとして有名なアツギは、青森県むつ市などにある、アツギ東北のパンスト製造工場を閉鎖する決定をしたそうだ。これもコロナ禍の影響だ。私もこの前パンストを購入したのがいつだったか思い出せないほどだ。

 

 

 

青森県むつ市、という人口わずか5万人の過疎の市で、500人が雇用を失うことになり、市では悲鳴をあげている。その500人もの人口を新たに雇用できる先はむつ市にはない。しかも、アツギは今後、パンストの製造を、支那の工場に集約することにしたのだという。

 

パンプスにパンスト。長らく「OL必須のアイテム」として君臨してきたが、パンプスというのはもともと、通勤のように、長時間歩いて履くための靴ではなかったそうだ。なのに、外反母趾などの深刻な被害が女性たちに発生しつづけでも、OLはこれを履くものだというスタンダードはなかなか崩されなかった。

パンストは、頭にくる素材だ。せっかく高い金を払って買っても、すぐに伝線した。だから、「伝線しにくい」とパッケージにうたわれているものを買い、酢水につけてから乾燥するなどあれこれ良いと言われている知恵を実行しても、それでも伝線した。こちらも腹を立てながら、世間のスタンダードに従って買い続けてきた。一体、OLたちは生涯どれほどパンスト代を払ってきたことだろう。

 

コロナのせいで様々なものたちが影響を受けるはめになった。むつ市民500人の雇用がなくなるのは深刻な事態だが、パンプスの被害にしろ、パンストにしろ、コロナのおかげでその苦痛からOLを解放した面もある。