今年はまだ、セミの鳴き声を聞いていない。8月になればいやというほど聞けるだろうけど。
アメリカでは、「素数蝉」という、13年ないし17年に1度、大量に生まれてくるセミの種類がある。
あれほど同時期に大量に生まれてくれば、結婚相手を見つけることも容易だろう。従って、子孫を残しやすい。
が、7年にしても、13年にしても、17年にしても、地上に生まれきてからのセミの寿命は短い。
生まれてからは、電光石火で結婚して、子孫を残して、死ぬ。
カゲロウもまた、寿命の短い虫の代表みたいなもの。
生まれてから数時間、とも言われていたが、実際には数日から1か月くらいは生きるらしい。
それでも、ね。
神は、なぜこういった虫を生み出されたのだろう。虫たちも、せっかく地面に長い間いたのだから、地上に生きる時間をもっとくれよ、と文句を言わないのが不思議だ。
カゲロウといえば、厳密にいうと「ウスバカゲロウ」らしいが、私は、子供の頃、アリジゴクにアリンコを落とすのが好きだった。
近所の家の縁側の下に、逆円錐形の穴がいくつもあった。
私は、アリンコをつかまえてきて、ここに落とした。すると、逆円錐形の中心から、パッ、パッ、パッと土が上がり、アリンコはその中に吸い込まれていった。
しかし、2匹目のアリンコ(の血)までは食べたが、3匹連続では食べないのがわかった。
アリジゴクは、常時飢えているのが前提の生き物だから、そんなに満腹になるようにDNAが組み込まれておらず、消化器もできていないのだろうと思った。自然では、必要以上の殺生をしない仕組みになっているらしい。
最近読んだ本に、
「人間は、50歳から55歳くらいまでは、DNAが『生殖モード』でプログラムされているが、55歳すぎくらいから、それまでの生活習慣で、良い人は元気だけど、悪い人はどんどん悪くなる。55歳すぎると、もう生殖モードが働かなくなる。だから、生物学的にはもう55歳すぎた人間はいらないんです」
とあった。
女性だったらちょうど閉経のころだ。
なるほどね~、そうだよね~。
なぜ人間に限って、生殖可能期間を終えても、こんなに延々と生きているのか、という疑問については、もちろん医学等の発達もあるけれど、「孫を育てるため」という大義名分がある、という説を聞いたことがある。
しかし、これからの時代、結婚も出産もしていない男女が大量に100歳を迎えるようになるだろう。
生物学的にはあり得ない事態が、どんどん起こる、これからの時代。