京都の、なが~~い住所表記

よく知られる、京都の、長い、ながーい、住所表記。

 

 

この京都独特の住所表記、実際には、京都市内でも、上京区、中京区、下京区の3区に限られるのだが、新婚当時、中京区に住居を構えて、ぶったまげた。運転免許証を書き換えると、住所を書く1行におさまらず、免許センターの人が手書きで埋めた。

当時はまだネットなんかなかったので、遠方との通信手段として手紙が最重要だったのだが、とにかく、封筒の表面が埋まってしまうくらい長かった。

 

でも、この住所表記、便利でもあった。

もともと京都市は、すべて名前のある道が碁盤の目に通っていたから、「●●通り」を「上ル(アガル)」と「下ル(サガル)」で、北へ行くか南へ行くかわかるし、「▼▼通り」を「西入ル」「東入ル」で、その交差点から東に行くか西に行くか、で大体わかってしまうのである。なので、写真の住所は、まずは南北に走る「御幸町通り」と、東西に走る「竹屋町通り」の交差点から北に行ったところの左右がこの「毘沙門町」なのだが、当該3区の人たちは、町の名前なんかあまり考慮して生活していない。道の名前さえあれば充分。町名や番地より、あとは表札を見て配達するわけ。

アメリカを含め、海外の住所は、道の名前に家の番号を振って完結しているから、この住所表記には、アメリカ人である旦那のほうが、アレルギーを示している私よりむしろ先に馴染んだ。

 

悲劇なのは、更に長い名前のマンションに住む場合である。

写真の住所だと、

京都市中京区御幸町通竹屋町上ル毘沙門町258 竹屋町レジデンス京都御所南503」

なんて住所だったらどう思います? 

我々はそういった住所のところに住んでいたので、旦那宛にアメリカから手紙が届くと、

「What a long address!」(なんて長い住所なの!)

と、差出人はぶったまげていた。ごめんよ~~。

まあ、それにはアルファベットも悪い。たとえば、日本語で「東山」だったらたった2文字で済むが、アルファベットだと「Higashiyama」と、11文字も必要としてしまうからである。ともあれ、配達する郵便局の人も、住所を読み取るのに大変だろうな。

 

日本政府が、郵便番号を7桁に変更しようとしたとき、京都市の人々はすさまじい抵抗を示したそうだ。

京都市以外では、住所は「町」「丁目」単位であるのに対し、京都市では「町」なんか二の次で、「通り」で住所を表記していたから。

結局は京都も折れて、町単位で郵便番号を振ることにしたけれど、今、郵便番号検索のサイトを見ても、あまりに町の名前が多すぎて、通りの名で言ってくれないと、どこがどこやらさっぱりわからない。