消費税増税について(反対論)

安倍総理大臣は、今日で、通算の総理大臣在任日数が、大叔父の佐藤栄作氏の在任日数と並んだ、と聞いた。歴代第2位の長さである。このまま行けば、桂太郎氏の記録を塗り替えても不思議ではない。だって、今の政界を見回しても安倍総理以外の適任者が見たらないのだ。

 
しかし、安倍総理が、消費税10%への増額について、本心からやりたいようには到底見えないのは私の邪推だろうか。上念司さん、田中秀臣さん、高橋洋一さん、藤井聡さんと言った経済学者や経済評論家の方々も、せっかくアベノミクスで向上した経済を破滅させる行為と、こぞって反対している。
不承不承、渋々進めているとしたら、役人フレーズの際たるものであるところの、
「もう決まったことだから」
というのが理由だろう。そして、どう考えても乗り気でない安倍総理が、増税を撤回できない理由は、うしろで財務省官僚に「やれ、やれ」と強制されているからである。
 
財務省官僚は、とにかく「財政健全化」と言う。それは間違っていないだろう。現在日本国の借金(国債発行額)は約1000兆円、と、ピンと来ない額だが、ざっと日本の人口1億人とすると、ひとりあたり1000万円の借金がある計算になる。
 
が、いつも不思議に思うのだが、財務省官僚は東大出の頭の良い方々ばかりなのに、財務を「バランスシート(貸借対照表)」で見ないのだろうか?彼らの言い分では、同シートの負債の部(右側上)だけしか見ていないようだ。
しかし、貸借対象表は、左側の「資産」の部とのバランスを見るものである。私もかつて簿記を習ったからそこは分かっている。
 
しかも、IMF国際通貨基金)は、昨年10月に、以下のようなお墨付きを出している。
 
国の債務(貸借対照表右側)だけではなく資産(左側)にも注目すると、日本の純債務残高は「ほぼゼロ」で、G7の国々の中でも2番目に良い状態だ。
 
つまり、財務省が喧伝する「日本の財務状況が悪いので増税しなければならない」説は、IMFが否定してくれているのである。これから増税すれば、景気への影響は必至だ。
 
それにそれに、今後の消費税の計算が、キャッシュレスに移行するためなのか、ダブルスタンダードで、私はちっとも理解できない。
コンビニで弁当を買うと、中で食べるなら10%、持ち帰るなら8%の消費税がかかるそうだが、いちいち「お持ち帰りですか、食べますか」と聞いてからレジをしなければならず、また、「持ち帰る」と言いながらイートインコーナーで食べ始める客の監視までコンビニに負荷をかけるのだ。
一体、何が10%で何が8%なのか、境界線をすべて把握している人なんて、商人でもいないのではないだろうか。
 
いまからでも、10%は取り下げて欲しい。財務省官僚にとって、「出世する」とはイコール「上司の言うことに逆らわずに従う」しかない。なので、「10%は延期しませんか(やめませんか)」などと提案する部下は、失脚する。財務省は、増税後、日本の景気が後退しても、誰も責任を取らないだろう。
 
ついでに言えば、アメリカの場合、消費税(Sales Tax)は「収税」なので、モノの売れ行きが鈍るときとか、景気を良くしたいときなどには、消費税免除とはいわないまでも、減税セールをすることがある。
収税だと、そういう自由が効いてうらやましい。