メガネに慣れない

私は高校生のとき、ど田舎のクソみたいな女子校に転校させられて以降、ほとんど勉強をしなかった。

それでも、本を読むことは多少あって、暖房費節約のためにお布団にくるまって寝そべりながら本を読んでいたら、0.1あるかないかの近視になってしまった。両親とも視力は良かったので、完全に私の落ち度だった。勉強しないのに、近視。

 

大学に入ってから、メガネを作ったけど、我ながらあきれるほど似合わなかった。

従って、その作ったメガネはほとんど使わず、19歳でコンタクトレンズデビューして以来ウン十年、ずっとコンタクトレンズを使っていた。

 

気持ちが変わったのは、東日本大震災のとき。

「もし大震災が来ても、コンタクトレンズ保存液なんて持って逃げられない。洗わなくてもいいメガネだけ掴んで逃げればいい、メガネを作ろう」

と考え、超久しぶりにメガネを作った。かけてみたら、思ったほど似合わなくもなかった。

しかし、メガネって、曇るし、じゃまだし、やっぱり、上下左右、ギャップもなく明快に見えるコンタクトにかなわなかった。よって、せっかく買ったのに、大震災がない幸いもあってか、さほど登場しなかった。ハードレンズの最大の欠点は目にゴミが入ったとき猛烈に痛いことなので、メガネは風が強いときに外出する際に使う程度だった。

 

うちの旦那は100円ショップで買った老眼鏡を、家のあちこちに置いている。

私はまだ細かい文字を見るのは困らない。しかし、誰だってそのうち旦那のように老眼鏡なしに字が読めない時が来るよね。そうだ、万一の震災の備えももちろんだが、老眼鏡に慣れる準備も必要だ、と、メガネに慣れる時間をじわじわ増やすことにした。

 

しかし、まだ慣れない。

家でメガネをかけていると、しょっちゅういろんなところにぶつかるのだ。食器棚の扉とか、洗濯物の物干し竿の先端とか、もう、いろんなところにメガネをぶつけてしまう。最近のメガネレンズは、傷が付きにくくなっているのが有り難い。

メガネユーザーの方々って、この辺、慣れで回避できてしまうのだろうか?