おしんの亭主が許せない

テレビドラマ史上最高視聴率を記録した「おしん」が、いまNHKのBSで再放送されている。

せっかくなので、録画しているが、いくら橋田寿賀子氏の創作だとはいえ、おしんの「クズ+ヒモ亭主」には、見るたびはらわたが煮えくり返っている。

 

こんなに腹が立つとは、橋田氏のセリフだらけの脚本もすごいのだし、「竜三」を絵にかいたような並木史朗もまた、はまり役なのだと思う。

しかし、ね。

 

佐賀の豪農の三男坊で、甘やかされて育ったから、親のカネで作ってもらった「らしゃ問屋」とやらも、商才がなく、不況が来たらすぐ潰れた。

おしんが優秀な髪結いの腕を発揮して家計を支えているのに、この坊ちゃんはカフェの女のところに入り浸って働かない。

おしんはそれを見て、「自分が髪結いをしているから夫が働かないのだ」と思い込み、髪結いを辞める。

らしゃ問屋に残った生地も、全部おしんが危険を冒し、夜店で売って現金に換えた。

 

その後、洋装の広がりを見て、おしんは生地の売り上げとその才覚を使い、ミシンで子供服を縫って売り出したら、たちまち大人気に。

そうしたらこのクズの竜三は「俺にまかせろ」「事業を大きくするのは男の夢たい」なんて偉そうなことをほざき、100%借金で縫製工場を建てたら、関東大震災で開設初日に全壊。

 

借金から逃げるため、佐賀の実家に二人で身を寄せるも、地獄よりひどい嫁いびりが待っていた。

竜三は、母親に一応抗議をするも、妻を救えず。

 

地獄から逃げ出したおしんは、酒田で定食屋を開くと、これも成功。

定食屋をやめることになり、浩太さんの勧めで三重県で魚の行商を始めると、これもおしんの才覚で徐々に客が付き、母子で暮らす収入を得る。

 

かたや、クズの竜三は、有明海干拓に父親と打ち込んでいたが、台風で全滅。

 

母親に握りつぶされていたおしんの手紙を復元してくれていた義姉のおかげで、おしんの居所を知り、満州に渡る前に妻子の顔を見に、と、三重に行く。

が、結局、ヒモのように居つくことになり、おしんの魚屋を手伝う。

夫婦関係が復活したので、また子供が次々にできるとともに、養子も得て子だくさんに。

行商をやめて店を持つまでになるが、軍人の兄のひとことをきっかけに、これまで懸命に続けてきた魚屋をやめさせ、いかにも自分が最初から魚屋を経営していたかのようなデカイ態度で、軍に卸す魚とか、かまぼこ工場を立ち上げるとか言って、おしんに魚屋の仕事をやめさせる。

「これは男の仕事たい」

「女は黙って男についてくればよか」

などと偉そうに言って。

 

このバカやろ~~~~!

お前に商才なんか、おしんの1万分のもないくせに!

おしんは、髪結いの師匠に言われたとおり、あんなヒモ+クズなんぞ、さっさと離婚しておけばよかったのである。

そうしたら、後世に名を遺す「メイ 牛山」とか「山野愛子」などの美容学院創始者にでもなれただろう。

本当に、おしんは、あらゆる才能に恵まれていたのに、恵まれなかった「亭主運」に、すべてを食いつぶされてしまった。

結婚なんかしないで働いていた方がどれほど幸せだったか。

 

もう結論は分かっているが、クズ+ヒモの竜三は、敗戦時、軍に協力してしまったことを恥じ、自殺するのである。

ああ~いい気味だわ。

早く死なないかなあ。