日本人の名がやっと「姓+名」の順に

私のように、外資系企業勤務歴が長いと、当然のように、世界中から

Hanako Suzuki

と「姓+名」の順に呼ばれてきたが、ずーっといやで仕方なかった。

欧米人のいう「First Name」と「Last Name」という言い方は、井の中の蛙で、傲慢ともいえよう。姓は「Surname」ないし「Family Name」と、下の名は「Given Name」と言い換えてほしい。

ヨーロッパの中でも、わずかに、アジア系の先祖をもつハンガリー人だけは、日本同様「姓+名」の順に名乗るそうで、親しみを感じるが、彼らはハンガリー以外の欧米各国となると、やはりひっくりかえすのだろうか。

 

日本以外にも、台湾、支那南北朝鮮、ベトナムなどで姓+名の順に表記するが、世界中では残念ながら少数派だ。ビルマミャンマー)のように姓と名の区別のない国もあるが。

 

明治のころ、日本に英語教育を導入したとき、「欧化政策」の一環として、日本人の姓名をひっくりかえして名乗らせる指導を始めたそうだ。かれこれ120年になる。すっかり日本人にしみついてしまったが、2002年以降は、文部科学省も、中学英語の教科書で、日本人の名を「姓+名」と表記するよう指導されて、7社中6社の教科書がそうしているそうだ。良い傾向だが、かなり遅きに失した感がある。

日本人やハンガリー人だけが「どっちが姓でどっちが名前だよ」と説明しなければいけないのだろうか。

誤解されない表記の方法としては、

 

  姓を全部大文字で書く  SUZUKI Hanako

  姓の次にコンマを置く  Suzuki, Hanako

  姓と名をハイフンでつなぐ Suzuki-Hanako

 

等があるが、口頭で言う場合は説明が必要で、「姓+名」の国にはハンディである。

しかし、英語圏だって、公文書とか電話帳はみな「姓、名」の順だ。案外そういうところは「姓」重視である。

 

もうひとつ疑問なのは、毛沢東とか金正日のような有名(?)アジア人の場合、海外のメディアも、そのまんま「Mao Zedong」「Kim Jong Il」と、国の習慣そのままに発音してもらえており、さらには、肩書をつけると「Chairman Mao」とか「Mr. Kim」と、姓だということが間違われずに報道されるのはなぜなんだろう。姓が漢字1文字でやたら短いため、姓だと思われやすいせいだろうか。もちろん、支那人半島人に、英語民族におもねて「姓+名」の順に表記するという発想がみじんもなかったのだろうが(立派)、初動を間違い、しみつかせてしまった日本政府および日本人が、いまからやっと「Shinzo AbeではなくてAbe Shizoだ」と宣伝しても、いつから認識してもらえるやら。

イチロー渡辺謙のような世界的著名人が、

「僕はスズキ・イチローです」「私はワタナベ・ケンです」

とPRしてくれないと。

 

https://mainichi.jp/articles/20190521/k00/00m/040/228000c

 柴山昌彦文部科学相は21日の閣議後会見で、日本人名のローマ字表記を「姓―名」の順にするよう都道府県などへ近く通知することを明らかにした。河野太郎外相も各国の主要報道機関に「姓―名」の順での表記を要請すると表明した。文化庁の国語審議会が2000年に「『姓―名』の順にすることが望ましい」と答申したが、浸透していないため、海外の注目が集まる20年の東京五輪パラリンピックを機に定着を図る狙いもあるとみられる。

 

https://www.sankei.com/politics/news/190521/plt1905210034-n1.html

河野太郎外相は21日の記者会見で、日本人の氏名のローマ字表記を「名・姓」の順から「姓・名」の順にするよう海外の報道機関に要請する考えを表明した。早ければ6月の20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて要請する方針だ。

 河野氏は、中国の習近平国家主席や韓国の文在寅ムン・ジェイン)大統領を「姓・名」の順に表記する報道機関が多いとして、「安倍晋三首相も『Abe Shinzo』が望ましい」と述べた。

 平成12年12月に国語審議会(文相の諮問機関)が、日本の文化的背景に従い「姓・名」の順に変更するよう答申していた。