銀行ATMと硬貨

今となっては、その銀行に口座を持っている人だけが、1日、一定限度額だけできることになった「両替」。ビニールでロールした各種硬貨を、一昔前までは、どこの誰でも、銀行の店頭にある両替機で、無制限に行うことができた。

昔々、ちょっと付き合っていた若いデブ君、今は亡き「三和銀行」出身だったのだが、彼は、

「あんなもの、銀行にとってちっとも儲けにならないんだ」

と言っていた。そりゃそうだね。完全に赤字の、人助け。しかし、お店を経営する人たちにすれば、お釣り銭を十分用意しておくために、絶対必要なサービスだったろう。今は、手数料を払ってでも両替しているのかな。

 

ゆうちょ銀行が、ATMへの硬貨入金に手数料を取りはじめてから、2週間経過した。

神社仏閣なんて大変なことになったかと思う。それら神社仏閣と、商店主らとの間で、私的に硬貨両替サービスを立ち上げたらいいのではないかな。なんだかんだ言っても、まだ日本には、現金払いのみの店がすごく多いし。

 

それにしても、ATMの維持には、莫大な経費がかかっていることも知った。まあ、綜合警備みたいな警備会社の屈強なお兄さん2名に、現金を詰め込んだジュラルミンケースを持たせ、ATMに仕込んで歩かせるだけでも相当な費用だが、この間ちょっと知ったのは、小銭をATMに入れる際、外国コインとか、ゴミを一緒に入れてしまい、それでATMが故障し、修理代金が発生している、という話だ。

そりゃ、ひどい話だ。私がATMに硬貨を入れるとしたら、予め貯金箱などに取りわけ、枚数を確認したものだけ持っていくから、外国硬貨もゴミも入りようがない。しかし世の中には、そういう確認もしないで、財布を開いただけザーっとATMに投入してしまうようなガサツな人もいる、ということだ。被害を被った金融機関側は、その人に修理代金を請求していないのだろうか。日本ではやたら「お客様は神様」みたいなへりくだり方をするのが良いとされているが、とんでもない話で、損害を起こした側にはきちんと請求するべきだ。そんな経費まで金融機関がかぶる必要はさらさらない。

そういえば、かつてアメリカで見たATMには、紙幣を出すだけで、紙幣も硬貨も投入する口は見なかったように思う。

 

ついでに、上に述べた若い三和OBのデブ君が、こんなことも言っていた。

「どっかのおっさんか爺さんが、ATMの、キャッシュカードを差し込むスロットに、硬貨を入れちまったんだよ。それで当然そのATMは故障し、分解修理が必要になった。とんでもないおっさんだった。大体、ATMのあのカード入れに、硬貨を入れるなんて、誰にとっても想定外だよ」

彼の憤りもすごくわかった。