人生初の「献血」体験

加齢は仕方ないので省くが、私はいま、人生で一番健康な気がする。

どこも悪くない。手術で治せるところは治したし。

 

一般に人間は、若い時の方が健康だと思われているみたいだが、私は逆。

若いころは、デブだったし、何よりも私をむしばんでいたのは、男性には理解できないネタで申し訳ないが、毎月のあれであった。

12歳から発生したけど、出血量がおびただしく、いつも青い顔をしてフラフラあるいていた。

あまり大変なので、しょっちゅう下着や布団を汚した。学校にも、1時間ごとに取り替えるため、用品を大量に持って行った。

母は、お産したあとの女性が使うパットを買ってきてくれた。

たかが25メートルの水泳や、100メートル走も、やっとだった。

私の顔色の悪さを見た、当時、副校長を務めていた国語の両角(もろずみ)という教師は、

「お前、その顔色は何だよ!食べ物の好き嫌いが激しいんだろ!」

と、頭から決めつけて私を怒鳴った。好き嫌いなどない私は、くやしくて悲しくて、涙が出たが、こんなジジイ先生に、「実は生理が」なんて、中学生の女の子が言えるわけはなかった。

20代でも30代でも、付き合いかねた。

いつ調べても「鉄欠乏性貧血」と診断されたので、四六時中、造血剤を飲んでいた。飲むと、真っ黒な便が出るのだった。

 

中年期になって、子宮内膜症の手術を3回もした。そうしたら、痛みも不快感もぐっと減った。

やっと、何とかつきあえるようになった。

昔の女性は、初潮が遅いうえ、多産だったから、一生に50回前後しか来なかったらしい。

それが、いまや、出産もしないなら、480回ほどもある。卵巣や子宮の休むひまはない。その方が女性の体としては異常なのだそうだ。

 

先日、人生初の「献血」を体験した。

過去に、無理だろうと思いつつ何回か挑んだことがあったけど、予想通り、すべて検査段階で不適合だった。

それが今回、ボランティア活動のつもりで受けてみたら、パスしたのだ。ひえ~~。

体重が50kgないので、200ccしか提供できなかったけど、特に造血剤を飲まなくとも、血液の比重が十分あったという奇跡。

やっぱ、閉経はいい! なんと楽で幸せなことか。

旅行にだって、いつでも、余計な心配も荷物もなしに行ける。何より私は健康になった。

 

女性活躍内閣とか。女性が輝く云々というフレーズがあるけれど、いくら能力的には男女差はなくとも、生理と出産がある限り、女性は男性とは絶対同じ土俵では働けない。毎月、その痛みでのたうち回るため、正社員として継続した労働ができない女性も多い。

私にとっても、生理は「災い」以外の何物でもなかった。男はいいよなあ、ほんと。

 

今日ネットで、今の若い子は、生理痛の治療として、ピルを処方されると聞いて、涙が出るほどうらやましく思った。

ピルは、日本の政界がオヤジで占められているせいで、「性道徳を悪化させる」と、20年以上解禁されなかった薬だ。その一方、オヤジ議員どもは、バイアグラとかミノキシジルとか、インポやハゲの治療薬はさっさと輸入許可していたのを、私は絶対忘れない。