まだ男女雇用機会均等法なんかなかったころの話。
私の上司(30代男)は、仕事場でもやたら、卑猥な「お●●こ」という4文字言葉を連呼する男だった。
私は聞いていてイヤだったけど、隣に座っていた、私より年上の女性社員が、引き攣りながらも笑っていたので、私は、
「こういうときは、男に合わせて笑わないといけないんだ。いやだと思っている私がいけないんだ」
と思い、合わせてひくひく笑った。
常日頃、母から、
「女はみんな男よりバカなの。世の中なんでも男の方が上なの」
というしつけを受けていたたまものだった。
幸か不幸か、私には超秀才の兄がいたので、この兄のすることをまね、考え方を合わせていけば間違いないのだ、と思い込まされており、いきおい、自分も女なのに、男の思考に合わせ、女性を見下すのが、センスのある行為だと思っていた。
「ゴルゴ13」という長期連載の青年漫画がある。
初めてあれを読んだときは、過激な性行シーン、強姦シーン、女性の殺害シーンの描写に、死ぬほどショックを受けた。
しかし、上記の理由で、私はショックを受けてはいけないのだ、男の思想に合わせていかなければいけないんだ、と思い込み、なんとか慣れるように努力したものだった。
吉野家(ほんとうの吉は「つちよし」だが)の常務取締役企画本部長、伊東氏(50歳くらい)が、早稲田大学のビジネススクールで、吉野家に女性客を増やす課題を出した際、
「田舎の生娘をシャブ漬けにするくらいのやり方で」
という例え話をされたそうだ。
はあ・・・・
生え抜きの吉野家マンではなく、P&Gから来たそうだけど(←だとしたら、吉野家も厄介なの拾ってしまったね)、ビジネススクールで教える例え話としては、あまりにも、下劣すぎる。本人は、いつもこんな思考回路をしていたから、なんとも思わなかったのだね。
吉野家のサイトでは、伊東氏の解任についてのお知らせがあり、
「本日以降、当社と同氏の関係は一切ございません」
と表示されていたけど、ならば、どうして「(懲戒)解雇」と書かないのだろう? 「解任」なら、別のポジションで、平社員でもいられる可能性があるのだけど。
ひとつ知りたいのは、このセミナーなら、女性聴講者もいただろうけど、彼女らはその場で即座に反論せず、だまって聞いていたのだろうか、ということ。
私のように、旧時代の大人たちに、古い考えで洗脳されていた人間とは違い、今の時代の女性なら、いやな物はいや、不快な物は不快、と、とっさに言える権利があるし、そうあって欲しいのだが、そこはどうだったのだろう。
PS: 吉野家の株は売っておいて良かった。