相鉄線には、滅多に乗ることがない。
神奈川県内にだけ走っている電車であったけれど、東横線やJRと接続して、東京方面にもつながることになり、現在、来年3月からの開通にむけ、最終工事の真っ最中だと思う。
さてと、滅多に乗らないと言いながら、一つだけ楽しみにしているものがある。
「相鉄瓦版」という無料の小冊子である。以前は偶数月の1日にできあがっていたのだが、経費節減のためか、あるときから3か月に1度の出版になった。といっても、無料なのだから何も言えない。これを、相鉄線横浜駅までもらいに行っている。
わかりやすい文章で、相鉄線沿線の農家や、代々続くお店にインタビューした記事が載っていて、楽しい。
相鉄線は、横浜から西を走っており、都心というよりは、農地の多いエリアを通っている。私もこの小冊子を読むまで、保土ケ谷がかつては、種芋まで出荷するほどのジャガイモの大産地だったり、西谷がネギで有名な土地だということも知らなかった。今でもまだまだ農業が盛んなエリアで、ほかに大根やキャベツなどの生産も多い。
10月1日号に「畑直送の加工品」という特集があった。
中に、ある農家さんが取材されていたのだが、そのかたも、
「形が小さかったりいびつだったりで、規格外だとされる野菜は出荷できず、捨てるしかない。でも、数ヶ月丹精こめて育てた野菜で、味は全然問題ないのに」
と残念そうに述べている。私も常日頃から思っていることで、そうだそうだ、と読み進めて見ると、そういった規格外野菜を、自宅でお客さんに「やや小ぶりだけど美味しいですよ」などと言って直販したり、また、漬物等に加工して売っていたそうだ。味が良いので、自然にお客さんが増えていったところ、次第に、農協までが各地で直売所を設け出したため、結果、自宅の直売所を閉めてしまった、という。
なんだ?
農協って、農家が個人で収入源を求めて努力しているのに、それに邪魔をする組織なの?
さらに、難しい状況を述べる文章が続く。
自宅でジュースや漬物などを加工するには、法律や条令に則った許可申請を取る必要があるのだが、それも、ジュースならジュース、ジャムならジャム、漬物なら漬物、と、各種類別に保健所の許可を得なければならないそうだ。が、ひとたび全国のどこかで、そういった食品による事故が起こると、法律や条例が一層厳しくなり、許可を得るのが大変だ、という。
食品による被害を管轄する役所側の気持ちはわからないでもないけれど、1農家に対してそこまでハードルを上げる必要があるか、と疑問を呈していた。
フードロス、とか言われ出したけど、そこまで規制しなくてもいいんじゃね?的なレベルの締め付けによって、結果、無駄になる食品が絶対生まれるわけだ。日本のような資源小国では、もっと出荷基準とか見直してもいいんじゃなかろうかと思う。
果物の産地では、「桃(さくらんぼ)(梨)なんて買ったことない」という人が多い。それって、その「規格外」で出荷できないものをもらうんだろうけど、うらやましい反面、美味しいのに出荷できなくしている「規格」って何だろう?といつも思うのである。
ただ、「規格外の野菜が流通すると正規の商品価値が下がる」とも書いてあった。そんなものかなあ。