アメリカ人の旦那が、過去の写真を何となく眺めていたとき、とある写真を指して、
「これ、気に入った」
と言った。見たら、昔、ワシントン州にある航空ミュージアムで私が撮影したものだった。
ここでは白く塗ってしまったけど、自分で自分の表情が気に入ったのだとか。しかし、私がむしろ「お~~っ」興味を持ったのは、うしろの方。
「コンコルドじゃん」
コンコルド、と聞いたら、何を思い出すだろう。
鳥のようなデザイン?
マッハ2の音速?
定員100人しか乗れない?
高額な運賃?
燃費悪い?
経営破綻?
海峡を挟んで、もとから仲の悪いイギリスとフランスが共同開発した、というのも、考えてみたら、かなりの驚きだ。
それより、私は遅ればせながら、最近やっと「コンコルド効果 (Concorde Effect)」という言葉を知った。
途中で、ビジネスとして成り立たないことが判明しても、既に巨額の資金をつぎ込んでしまった手前、今さら撤退してはもったいない、と、開発を強行してしまうことを指すのだそうだ。
コンコルドも、その製造過程で、開発費用の回収は不可能であることが分かっていたが、お互い、責任をなすりつけ合い、結局は巨額の赤字を抱えて倒産してしまった。250機製造を採算ラインとし、世界中の空を飛ぶ予定だったのが、英国航空とエールフランスで計16機使用しただけで終わった。それでいて、113人の死者を出す大事故も起こしたし。
「それにしても、フランス人って、なんか、『おフランスだけは特別だ』とばかりに、妙に凝ったデザインを考えて得々とする癖があるよね。それでいて、使ってみたら全然practical(実用的)じゃない、って」
と私が言うと、旦那は、
「イタリア人もそう」
と言ったけど、ほんとかな。
ともあれ、ビジネスには、儲けがないとわかったら、撤退する決断って大切なんだなあ。難しいことだけど。