日本人の公徳心は世界一

トイレットペーパーは、「1家族に付き1つ」の販売制限をかけているなら、ほぼ「品薄」を脱した様子だ。

オイルショックのときもそうだったが、人間、デマに弱い。今回は海外でもトイレットペーパー不足になった。

 

しかし、私がいつも感動するのは、日本人の民度の高さだ。いろんな店舗、図書館や役所、一般の公衆トイレを含め、公共のトイレには、予備のロールが置いてあるが、トイレットペーパー不足の折でも、誰も盗まなかった。「神の罰が下る」などという宗教はなくとも、日本人に共通の公徳心が宗教以上にそれをカバーしている。

 

これは、ケント・ギルバートさんの著書で読んだ話。

かつて「東京相和銀行」であった銀行を引き継ぐ形で発足した東京スター銀行が、2011年の東日本大震災の際、当座の現金を要する被災者らに、どのように預金を引き渡すかを検討した。現在は、台湾の金融機関に買収されてしまっているようだが、当時のトップはアメリカ人で、ケントさんの知り合いだった。

被災者らは、通帳もカードも判子もすべて震災で失ってしまっている。どうしたらいいものか。

そこで、同行は、「東京スター銀行に口座がある、と名乗り出る人には、10万円を渡す」という決断をした。

後日、状況が落ち着いてから、同行は、それら10万円を渡した人らの氏名と口座情報を照合した。

「口座を持っていないのに、持っていると言って10万円盗って行った人はいませんでしたか?」

ケントさんが聞くと、そのトップはぶるぶる首を横に振り、10万円を渡した人たちは、本当に、同行に10万円以上の預金を持っていた客だったというのである。

あの被災時にすら、ウソはつかない。

こんな国って、日本以外にあるだろうか?