ただの腰痛だと思わないこと

膵臓癌を患っている元同僚から、たびたびメールが入る。

気がついたら、すでにステージⅣだった男性だ。

痛み止めを大量に服用していること、抗がん剤で猛烈な吐き気に襲われていること。

私だって、いつどうなるかわからない。とりあえず聞いて、なぐさめにもならないであろう返信をしてやっている。

それ以上のことは、できない。

去年あたりから、背中や胃が痛み出したが、市販薬でごまかしていたのだという。

 

私の友人の母親も、膵臓癌であっという間に無くなってしまった。このお母様の場合、腰痛が最初の訴えだったという。

腰痛、というと、人は普通、整形外科に行き、X線写真を撮ってもらうだろう。

それで「特に骨には異常有りませんね」と言われ、カロナールなどの鎮痛剤を処方してもらって帰ってきたりする。

それでもおさまらないと、また整形外科に行って、もっと強い鎮痛剤をもらってきたりするのだろうか。

 

私の母も、一時期ひどい腰痛に悩まされたことがあった。

最初整形外科に行き、X線撮影をし、

「ちょっと、骨がずれていますね」

のようなことを言われ、カロナールをもらってきた。

それでも全然治らないので、素人考えよろしく、整骨というか整体院の出張サービスを呼んだ。

電気とかなにやら施術してもらって、その一瞬は痛みがやわらいだものだ。しかし、いくら整体を呼んでも、少しも改善しない。

いよいよ歩行もできなくなる直前に、かかりつけ内科医に相談し、市民病院に紹介状を書いてもらった。

CTで発覚したのが、「腸腰筋膿瘍(ちょうようきんのうよう)」という感染症だった。感染症にかかったことで、膨らんだうみが悪さをし、神経を刺激し、腰痛が起こったのであった。母は早速、感染症科(いまは伝染病とは言わないことも知った)に入院し、治療を受けた。

 

これ以降私は、東洋医学や、整体、整骨というものを人生から一切排除した。あんなもの医学でも何でもない。頼ってはいけない。

 

整形外科では、腰や背中の痛みを訴えてる患者に、特にこれといった異常が発見されなかった場合、別の種類の病気を疑い、他科を受診するように積極的に勧めないのだろうか。