先日、両親が残した身の回り品を入れた箱を見直していたら、出てきた石。
これは、兄がフィリピンに赴任していたとき、両親が兄に呼ばれ、観光をしたときに父が持って帰ってきたものだ。
なんの変哲も無い石だけど、赤っぽい色がついている。
ひっくり返したら、父の字でこんなふうに書いてある。
血染めの石
コレヒドール島は、太平洋戦争時の日本の史跡も多く、また、多くの日本兵が命を落とした、日本人にとっても特別な島、らしい。
それは歴史的事実として置いておき、確かにこの石は赤っぽいんだよ。
でもね、血染め、じゃないと思う。
その時のツアーガイドが、
「これは戦争で命を落とした日本兵の血が石に染みついたまま、今日まで残っているものです」
とか説明するのに感銘を受け、父が買ってきたか、もらってきたもの、だと思う。
多分、父はガイドに騙されたと思う。現地の人たち、赤インクで染めてこういう石を日本人観光客向けに作っていたのではないだろうか。しかし、父は、戦中世代として、買わずにはいられなかったのだろう。