「命に別状はない」という言い方が気になる

昨日、「血染めの石」という話を書いたので、ちょっと血染めつながりの話を書く。

このごろ、電車の中で急に刃物で刺されたり、等、何の落ち度もないのに突然の事件に巻き込まれてしまう気の毒な人々の話が多い。私だって電車に乗るから、他人事ではない話だ。

 

そういうケースだけに限らないが、報道で、被害者らが、

「病院に運ばれましたが、命に別状はない、ということです」

と伝えられることが多い。これを聞くと、なんとなく「軽傷で済んだ」というイメージを抱いてしまうのは、私だけだろうか。

臓器に達するほどの重症を負わされても、出血が少なめで、手術が成功したら、「命に別状はない」とされてしまう。

意識不明だとさすがに「重体」と報道されるが、生きているにしても、回復まで手術や長期の入院を要する、とか、後遺症が残る、とか、ついには指を数本失う、とかだったなら、「命に別状はない」どころじゃない、と思うんだが。

「意識不明」と「中程度の負傷」の中間レベルって、適切な言い方はないだろうか?

 

ネット辞書で「別状」を引くと、

普通と変わった状態、異状

とある。おいおい、生きているにしても、普通とは大いに変わっている!!

 

「生命は存続できるレベルとのことです」

「生存は可能という度合いです」

「今後の生存に影響は少ない模様です」

 

う~~ん、うまく言えないなあ。

それに、日本語は「言い終わりの語句」で結論というか印象が変わる言葉なので、上記を言ったあと、

「が、重傷です」

と、最後にちゃんと「重傷だ」ということを加えてもらえないかな。でないと、犯人の狂気は大した程度でもないような印象も与えてしまいそうに思える。