「キッチン友」に、嬉しい話

白楽の洋食の名店、キッチン友。「孤独のグルメ」にもたびたび登場した。 

ご夫婦が、1965年からずっと経営している。旦那さんの方はもう、80歳になった。おかみさんは相変わらず、チリチリのパーマで襟足だけ結んだ髪型をしている。

もうお二人とも高齢になったので、旦那さんかおかみさんの一方が倒れたら終わりだ、と思って心配していた。

 

久々に行ってみたら、カウンター内に、今どきの顔をした茶髪の若者が、旦那さんとともに鍋をふるっているではないか。

 

他のお客さんたちとの会話を聞いていたら、お孫さんなのだとか。ひえ~、このご夫婦にこんな良い孫息子がいたんだ!

さらに話を聞いていたら、この子はフレンチの店に修行に出ていたのだという。

狭いキッチンで、汗を流しながら料理作りに格闘していた孫息子。

 

お客さんから、

「俺ら、この店がなくなったら困るんだからな。頑張れよ!」

と声をかけられ、照れていた孫息子。

しかし、祖父である旦那さんは、何を話しかけられても、何も言わない。

「もう耳が聞こえないのよ」

と打ち明けるおかみさん。

 

 

私が食べた友風ランチ。これで1000円。

 

 

旦那は、炭水化物を抜いているので、ポークソテーだけ食べた(私のご飯をちょこっと盗んだ)。1250円。

 

孫息子は、お客から、

「もう、爺さんには隠居してもらえよ」

と声をかけられていたけど、孫は、

「もっと教わらなきゃ」

と、はにかみながら答えていた。

あ~~、ええ孫じゃ。

これでこの店も当分安泰だなあ。後継者がなくて閉鎖する店ばかり見ているから、なおさら安堵した。

 

しかし、この店、まさかWikipediaにまで出ているとは知らなかった。