もう1か月以上前の話だが、首都圏で桜が散ってしまったあと、もっと見たいと、あずさに飛びのり、松本城へ行った。
水の豊かな土地には惹かれる。私は、見ると、飲んで、飲んで、おなかタプタプになった。散歩中のワンちゃんたちも飲んでいた。
市はこじんまりしており、調べてみたら人口も24万ていど。
ふと思った。
中学生くらいになると男女もだんだん色気がつき「グループ交際」なんてのに発展するけど、私の時代は、長野市にわずかにあるデパートとか、繁華街(都会に比べると笑えるくらい小さい)に出たりしていたのだ。しかし、松本駅周辺を見ても、駅ビルはあってもデパートなんてなかった。駅前も「繁華街」ってほどじゃないし。いつもお城でデート?
ちょっと話は長くなるが、ある記事を引用する。ブックマークしておいたら、今はもう削除されてしまっていてがっかりしたが、記憶にしっかり残っている。
話の主は、学生。鳥取県では秀才で、親から「東大へ行け」と言われ続け、ひたすら勉強ばかりし、めでたく東大に合格して上京した。しかし、東大では、周りが「麻布」「開成」「筑駒」などの出身で、予備校時代からもうすっかり顔見知りになっている東京育ちの学生たちがしっかりと輪を作っていた、というのだ。おまけに、自分は田舎で勉強しかしてこなかったけど、彼らは自分と違い、遊びもファッションもしゃべりも上手。東大の先輩たちともツーカー。田舎者の彼は全く浮きっぱなしで、友達もできず、しまいには、あまり大学にも行かなくなってしまった、というのだ。私のように、親の転勤のため地方で育ち、18歳から都会に出てきた者の心に刺さった話だった。
現代は、私の時代と違って、地方にいても情報は難なく取れる。しかし、雰囲気や環境の格差は、埋めようもない。物心ついたころから渋谷や原宿で遊びながら東大に行った彼らとの差。私も大学に入って、東京育ちのお嬢様方とのあまりの差には、泣くしかなかった。
松本市に限らないけど、遊ぶところのない地方で育った若者が都会に出てくると、21世紀、令和のいまになっても、やっぱりひどく劣等感を感じるんだろうなあ。
水の話から、大いにそれてしまった。