女王陛下とその夫

イギリスのエリザベス2世女王陛下が、在位70年を迎え、国民から祝福を受けている。

70年も在位を続けるなんて、生半可なことではない。

10代か20代の若き日に即位し、80代90代になるまでずっと在位していないと作られない記録だ。

女王陛下は、昭和と同じ年だから年の計算がしやすい。

その間、さまざまな不幸や困難もあったけれど、いまだ健康状態にも特に問題なさそうだ。認知症もなさそうだし。

バルコニーでお立ちになっていたら、隣は、あれ、旦那さん?と思ったけど、フィリップ殿下は亡くなられたのだ、あれは息子のチャールズだ、と思い直して見たら、言ったら悪いけどチャールズ、すっかり爺さんになってしまわれた。世界最高齢の王太子殿下。いつまで経っても母上がご健在で、生涯女王を宣言しておられるので、「早く国王になりたいよ~。なれるかな」と内心思っているだろう。

 

女性が国王の場合、ひとつ、世界の共通点がある。妻である女王だけが「陛下(Her/Your Majesty)」と呼ばれるが、その夫は絶対に「殿下(His/Your Royal Highness)」止まりであること。これは、男性が国王である場合、妻である王妃も、夫同様に「陛下」と呼ばれるのに対し、不思議なルールである。女性が国王である場合、その夫に国王気取りをさせないためであろうか? 王妃は「嫁」で、国王に従う(一歩さがった)存在なので、王妃を「陛下」と呼んでも、夫をしのぐ権力者になるという心配は無いと思ってのルールだろうか?

 

それと、かねてから、女性が国王になる場合、その夫は「外国人であること」が暗黙のルールであった。エリザベス女王の夫はギリシャ王室出身、デンマークのマルグレーテ女王の夫はフランス人、オランダの最近まで続いた2代の女王はドイツ人と結婚した。これは、同じ国の人と結婚すると、必然的に、身分の低い者が夫になってしまうため、女王の地位を下げないための鉄則だった、と聞いている。

 

しかし、最近は、スウェーデンの女性王太子が、フィットネスのインストラクターというど平民と結婚したので、この鉄則も過去のものになってしまったなあ。やっはり王族、皇族がど平民と結婚するのは、ちょっと、いかがなものか、貴族の人と結婚して欲しい、と私なんかは思う。

 

女王の夫になることを最初から分かって結婚する男性たちって、勇気あるというかなんというか。

人生捨てている、とまでは言わない。けれど、一生、妻の臣下として過ごさねばならない。妻は「陛下」なのに自分は「殿下」だし。

そして何より「種馬」としての役割を果たすことが一番大切な任務なのだが、どの殿下も、その役割はきちんと果たしておいでのようだ。