「ふぐ」を食べた、の記(と鯨肉、Greenpeaceなど)

もう祝うような年ぢゃないのだが、過日、誕生日を迎えた。前から、アメリカ人旦那が、

「ゴージャスディナーに行こう」

と言ってくれていたので、ちょっと考えて、ふぐを食べに行くことにした。

 

食べログでも評判のよかった店に「もう、ふぐやっていますか?」と聞いた上で予約。予約時間に訪れたら、きもちのよい接客で迎えてくれた。

 

旦那は「今日で最後かも知れないねえ」と不吉なjokeを抜かす。店内に掲示されていた「ふぐ調理資格」の賞状を指さして「大丈夫だよ」と言ってやる。昔、アメリカで「The Simpsons」という大人気アニメがあって、その中に、お父さんのホーマーがふぐを食べて死を覚悟するシーンがあり、その回は旦那のお気に入りなのだ。

 

箸置きも、ふぐ。

 

最初に、煮こごりが出てきた。アメリカ人はこういうものを知らない。

「ふぐのjellyだよ。中にふぐのskinが見えるでしょ? Gelatinで固まったんだよ」

と説明。日本酒に合う。

 

 

ふぐの皮の湯引きと、それから刺身。

 

 

これは、白子。「美味しんぼ」というグルメ漫画があったが、その中で、主人公の一人の栗田ゆう子が、「この世でこれ以上美味しいものがないと思うほど」と絶賛していたものだ。冬の味覚の王者と言ってもいいかも。うちの旦那に「白子」とはいかなる部位かを説明したら、「Oh, testicles」とコーフン。Testicleは「精巣、睾丸」という意味だ。

 

 

これは、唐揚げ。中に骨があるので、手づかみで食べるよう勧められた。

 

 

これは、鍋物用に大きめに切ったふぐの身と野菜。骨付きの部位は、だしになるから、ずっと鍋に入れておき、最後に食べた。

 

 

食べ物を食べ終わり、そのだしで煮たふぐ雑炊、と、香の物。

 

 

最後に、デザートのシャーベットが出て、おしまいになった。

とってもとってもお高かった。旦那ちゃん、高級料理をありがとう。

 

でもね・・・・

でもね・・・・・

ナイショだけど、正直に言っていいかなあ?

 

ふぐって、そんな、巷間言われているほど、美味しいかぁ????

 

高いから、貴重だから、と、特別な機会としてありがたがって食べるけど、もしこれがもっと安い価格で売られていたら、ワタシ、絶対買わないよ。言っちゃ悪いけど、サバとかイワシの方が美味しいよ。

白子だって、政治家とか王侯貴族が食べるレベルのふぐではないからかもしれないけれど、正直、タラの白子のほうが好きだ。

これって松茸と同じ理論だと思う。松茸なんて、高く貴重だからチヤホヤされているけど、香りはともかく、味だったら、椎茸の方が断然美味しい。

 

・・・・ないしょ、ナイショ。内緒の話ね。旦那に感謝していないわけぢゃないからね。

 

これとは別に、旦那はすごい疑問を抱いてしまった。白子、つまり、ふぐのキンタマのサイズである。

「考えてみろ、人間の体とキンタマの大きさとを比較したら、ふぐの体には不釣り合いなほど大きいキンタマじゃないか?何なんだ、このアンバランスさは?」

と。

 

私、ちょっと考えたのだが、哺乳類のように、メスの膣内に直接精子を注入するのとは違って、魚の場合は、海中にメスが放った魚卵に受精できるよう、精子を放たねばならない、となると、受精の確率を上げるため、体の割に放出する精液の量がたっぷり必要なのではなかろうか?? タラだって鮭だって、白子がデカいでしょ。

この辺、どなたか生物学的に解説できるようでしたら、ご教示願いたい。

 

 

その数日後、うちの近所でわりとよく鯨肉を売っているスーパーで買ってきたもの。いつもはleanな(脂肪のない)鯨肉ばかりなのに、珍しく、marbledな(サシが入った)鯨肉もあったので、両方ゲット。

こっちの方が美味しかった(←こら)。

うちの旦那は、私と結婚する前は、Greenpeaceの支持者で、

「鯨を殺すなんてとんでもない!」

と怒り心頭だった。が、私の調教のおかげで、すっかり鯨愛食家になった。旅行に出た先で、晩ご飯どうしようとなると、鯨肉を出す店があれば、無条件で入るようになった。

そういえば、最近Greenpeaceって聞かなくなった。以前は、日本の捕鯨船に体当たりしていたのに、と思って聞いてみたら、

「ああ、あいつらは今、global warming(地球温暖化)とか環境の方をやっているから」

と旦那。そうなんだ。よかった。