私は、系統だった英語の勉強は、もっぱらNHKのラジオ講座に頼っている。
留学経験も海外長期滞在経験もない。
アメリカ人旦那に聞けばいいでしょ?と言われるかも知れないが、彼は、日本でもっともやりたくない仕事が「英語の先生」なのだ。
私が書いた英文に赤を入れてくれるときなど、それはもうさすがの仕上がりなのだけど、文法の質問があって、
「●●ってなぜこう言うの?」
などと尋ねても、
「う~~ん、そのまま覚えて」
で終わってしまう。
さて、NHKのラジオ講座で、「桃太郎」の英訳版をやっていたのだが、中で1点、「ええっ?」と思ったことがあった。
英語と日本語の違いの一つに、ご存じの通り、名詞を繰り返すか、2回目以降はすぐ代名詞で置き換えるか、というものがある。
日本語だと、永遠に「桃太郎は」「犬は」「猿は」「キジは」と、同じ名詞で呼び続ける。
ところが、英語だと、2回目以降は「he」とか「she」である。英語で、動物は、厳密にいうと、「it」で受けるのだが、このように、主人公同様の格をもって登場していると、普通は「he」「she」になる。家のペットも同様。
それで、何がびっくりしたか、というと、同番組中で、「キジ」も「he」と呼んだことだ。
私は、桃太郎、犬、猿は「男(オス)」だと思っていたのだが、なぜか「キジ」は「メス」だと思い込んでいたことに気づいた。
鬼との戦いの場に行くのに、女は連れて行かないだろう、ってことで、「he」が妥当なのだろうか?
しかし、桃太郎の原文を見ても、おそらく「キジ」は「犬」「猿」同様、「キジ」としか呼ばれていないはずで、性別に言及はないはず。
英語に訳す際、「he」にすることに多少の迷いはなかったのだろうか。
もちろん、犬や猿だって「she」かもしれない。原文に言及がない限り、否定できないことだ。